「やっとくっついたのか。しかし、ラブラブだねぇ」
慌てて昴くんから離れて入口を見ると、藤寺先輩が立っていた。
「せ、先輩」
今の、見られてた!?
「いいなぁ〜。俺、こないだ彼女と別れたばっかなのに。というわけで、日向さん付き合わない?」
……へっ!?
「……何言ってんすか、だめに決まってます」
昴くんがサッと私の前に立つ。
「え〜、残念だなぁ。俺、日向さんがあの『女神の子』だって知ってたのに」
そ、その呼び名…!?
藤寺先輩、まさか知って…。
「七海が可愛いなんて俺だけ知ってればいいんです」
「あぁ…、メガネ外しちゃったからね。男がわんさか寄って集ってるわけか」
「でも誰にも渡しません」
なっ、なんなの、この会話…。
確かに私は今ではメガネをかけていない。
みんなも最初はビックリしてたけど、今では変わらず接してくれている。
「ファンクラブもできたって話だしねぇ」
ん? ファ……?
「じゃあ、俺たちは帰るんで。失礼します」