「昴くん…」


 七海は涙の潤んだ瞳で見つめながら、ぎゅっと抱きついてきた。

 可愛くて癒される。

 
「私の…ことばじゃ全然響かないと思うけど…


 自分の気持ちがどうなのかは必要な事だと思う。

 昴くんの人生を決めるのはお父さんでも私でもなくて、昴くんだから。


 選択をするのは難しいし不安だと思うけど、そういうときは私を頼って…ほしいです」


 ぎゅっ…と腕の力が強まった。

 安心する。

 七海と、好きな人といれて。


 俺は選んでもいいのかな。
 七海といる未来を。


 選びたい…ずっと一緒にいると。


「俺も俺のしたいようにしていいのかな」


 初めて見せた、本音と弱音だった。


「いいに決まってる!」


 七海を抱きしめ返すと、あったかかった。


「だから…さ」


 ちっちゃくて、小動物みたいなのに安心する。

 たまらなく、愛しい。


「俺と付き合ってくれる?」


 七海は顔を真っ赤にして、もちろん、と頷いてくれた。