7歳の頃に母親を亡くした。
俺の家は、代々昔から有名な財閥グループで優秀な一族だった。
父も名門の大学を首席で卒業してからは、直ぐに若社長となり母親と結婚したらしい。
好き同士で結婚したのでは無い、と母親が言っていたのを聞いたことがある。
父は跡取りが欲しかった。それも、優秀でハイスペックな子供。
そこで、当時有名な大学を上位で卒業した母親と政略結婚という形で結婚したのだ。
両親の間には愛も信頼もなかった。
その証拠に父は母親の葬儀で一切涙を流さなかった。
そんな愛の無いふたりの間に生まれた俺は母親には十分と可愛がってもらったが、父は好きではなかった。
テストで100点を取ってもニコリともしなかったくせにクラスで2番になると、めちゃくちゃに怒る。
『トップにならないと意味がない』
『そんな奴は皐月の人間と認めない』
散々言われてきたことは昨日のことのように耳の裏に染み付いている。
メイドにも怒鳴り散らすから、どんどん辞めていった。
今残っているのは数人だけ。