今日ほどのキセキはないだろう。


 私たちは、両想いなんだ……。

 
 実感とこそばゆい気持ちが心をかすめる。




 だけど…。



 抱き締める昴くんの腕はなかなか離してくれない。


「……昴くん?どうしたの、大丈夫…?

 体調、悪くなった?」



「……七海」



 やっと離して顔を上げてくれた昴くんの瞳は不安げに揺れていた。



「俺の話、聞いてくれる?」