「ね、」


 きっと涙でぐちゃぐちゃになってる私の顔を見て、梨々ちゃんは優しく、少しだけイタズラっ子の顔をした。


「授業サボっちゃおうよ」






 屋上は誰もいない。

 あたりまえ。今は授業中。

 先生、今頃私たち探してるかな。


「思ったより涼しいね。9月だってのに」

「うん」


「あー懐かしい。私中学のときさぁ、よくサボってたんだよねぇ」

 そんな気がする。

 そう言ったら梨々ちゃん拗ねちゃうかな。


「楽しそうね。そういうの、やっとけば良かったなぁ」

 
 私たちは小さなベンチに座った。



 今が、話すときだよね。