「今日は楽しかったね」


 帰りの電車の中。

 オレンジ色の夕焼けを眺めながら私たちは2人並んで座っている。

 早かったなぁ。もっと一緒にいたいなぁ。

 チラリと隣を見ると、


 ポスン。


「え……っ」


 昴くんの頭が私の頭に乗った。


 ね、寝てる…?

 
 スースーと寝息が聞こえてきて、そっと一息つく。

 昴くん、忙しいのに連れて行ってくれたからね。

 起こさないようにしないと。


「ありがとう…今日は楽しかった…です」


 寝ている昴くんにそっと言ってみる。

 本人には届かないことは分かってる。



 分かってるけど………。