「……………昴くんっ」



 

 息が切れる。

 こんなに全力で走ったのなんていつぶりだろう。

 

 私のバトンを受け取った昴くんはどんどんスピードを上げて1位におどり出ると、その差をぐんぐん広げている。



  きゃあああああああっ!!



 女子の歓声を浴びながら無事にバトンを繋いだ昴くんが一段とかっこよく見えた。


 あまりにも見惚れて…じっと見ていると、

 不意にこちらを見た昴くんと目が合う。


 そして、ニコッと微笑んだ。


「…………っ」


 無事に心臓を射抜かれた私はきっと赤くなっている。