「そりゃあヒロくん、めちゃくちゃカッコいいけどさ…」


 隣で歓声を聞いていた梨々ちゃんはどこか拗ねている。

 うん、可愛い。




 二列目に柊さんと一緒に並んだお兄ちゃんは、こっちに気付いて手を振ってくれた。


「ヒロくんー!頑張ってねーっ!」


 こちらも元気に大きく手を振る梨々ちゃんは注目されてる。

 
 私はその影に隠れてこそっと手を振った。


「七海ちゃーん、知ってる?この借り物競走はね、生徒会の無茶振りとかも入ってるんだよ。例えば……」


 梨々ちゃんが言いかけたと同時に1列目がスタート。


 こう見ると大学生くらいの人が多いなぁ。


「0点のテストの答案用紙ー!」

「リアルのゲイカップルー!!」


 お題の紙を読み上げながら走り回ってる。


「うわぁー…。なんというか、強烈なお題だね」