キラキラ、ニコニコ。
満面の笑みで詰め寄ってくる梨々ちゃん。
…距離が近いってば…。
「うん、イケメ…」
「こんな顔だよ」
「「え」」
2人して振り返ると、傘をさしたニコニコ笑顔のお兄ちゃんが立っていた。
「お兄ちゃん…!」
「待たせてごめん、七海。…はじめまして。七海の友達?兄の楓空です」
「とっとと友達の、真柴梨々です…」
何故かガクガクと顎を震わせながらの自己紹介をする梨々ちゃんは、次の瞬間、思いっきり私の頭ごと反対側を向いた。
「なななな七海ちゃん!めちゃくちゃイケメンさんじゃない…!」
「?だよね、かっこいいよねお兄ちゃん」
お兄ちゃんの登場に興奮気味。
流石はお兄ちゃん。
でもね、梨々ちゃんには…。
「あ〜〜っ、ヒロくん!こっちこっち!」
梨々ちゃんが正門に向かって手を振る。
見ると、傘をさして歩いてくる男の人。
一度会ったことのある梨々ちゃんのイトコ…もとい、彼氏さんだ。
梨々ちゃんに呼ばれこちらもニコニコ歩いてきた彼氏さんは、はたと足を止めた。
「あれ…?日向?」
「え、柊(ひいらぎ)?」
…ん?
「お兄ちゃん、知り合い?」
「ああ…まあ。大学の」
え。お兄ちゃんと梨々ちゃんの彼氏さんって同じ大学だったんだ!