「雨はやだなー」

 梨々ちゃんの言葉に窓の外を見る。

 土砂降り。



 HRが始まるまで教室は騒がしかった。






「ねー七海ちゃん。水着いつ買いに行く?」


 急な梨々ちゃんの発言にしばし固まる。


 放課後、生徒昇降口。

 私はお兄ちゃんの、梨々ちゃんは彼氏さんのお迎えを待っている最中だ。


「ああ、夏休み海行くって話の…?」

「えー忘れてた?大事な話だよ!七海ちゃんの水着買いに行くんだから」


 そういえば、そんな約束したね。

 約束といえば、皐月くんと図書館行くって約束もした。


 今のところ出かける予定のふたつ。



「なるべく早く行こうよ。人気なのはすぐに無くなっちゃうんだから〜」

「そうだね…ありがとう」


 それまでにはSNSの一件も静まってくれてるかな…。


「ところでさ、七海ちゃんのお兄さんって、どんな人?」

「ええっ…?」


 どんな人…って、それは…。

 かっこよくて、頭良くて運動神経よくて、


「優しくて…」

 ボソッと呟く。

「うん。それはわかる。七海ちゃんのお兄さんなんだから。私が聞きたいのはそうじゃなくて、イケメンかってこと!」


 えぇえ。