「ねぇねぇ知ってる?七海ちゃん」
朝から雨が降っている。
私と梨々ちゃんはHR前のこの時間、机に座ってのんびりトーク。
「何を?」
今日はヤケにスマホを弄っている梨々ちゃん。それも楽しそうに。
「SNSで話題になってるの。前に隣町のほうで有名だった中学生の超絶美少女。知ってる?なんかね、あだ名が『女神の子』なんだって」
「へっ?」
「写真も出回ってるんだけどねー、見る?」
目の前が真っ白になった。
中学時代、女神の子。
—————どうして。
—————もう静まって誰も覚えてないと思ったのに…!!
「ほら、この子。めちゃ可愛くない!?」
梨々ちゃんがスマホの画面を見せてくる。
それは、中学時代に女子5人グループで撮った写真。学校帰りに寄ったカフェで制服のまま撮ったもの。
1番端にいる、髪を下ろしてメガネもかけていない…私だ。
他の4人はスタンプなど貼ってて顔が見えない状態。私だけ、加工されてなくて顔が見えてる。
……どうして…?
写真を投稿した人は5人の中の誰でもない知らない名前。
一体、誰が…?