頭を抱えていると、スマホが震えだした。
 
 電話だ。


 …皐月くんから。


 図書館のことだよね。返信遅くてイライラさせちゃったのかも!

 
 それは申し訳ない。


 よしっ!



「もっ…もしもし」


『日向さん?』


 今日聞いたばかりの、声。


「あの、それで…えっと、なんで、私…?」


 緊張しちゃって噛んでしまった。

 うぅ、恥ずかしい…。


『俺の友達みんな本とかあまり興味ないし、なかなか誰かと行くことってなかったんだよね。でもすごい良い所だから良かったら一緒にどうかなって』


 用事があるならもちろん来なくていいよ、と言われてまた悩む。

 用事は、ない、けど…。


 皐月くんの言う良い所、というのに惹かれてしまう。


 でも2人っきりってことだよね。

 それって…


『嫌なら、来なくても大丈夫だよ。急でごめん』

「あ、っその…………私で、よければ」



 謝られて思わず受けてしまったお誘い。


『…本当?ありがとう。嬉しい。じゃあ詳細は後で送るから』