連絡先を交換しても、やりとりをすることはほぼ無いと思う。



 だって、私と皐月くんの接点なんて…。

 あるとすれば、本とか…あ、テストの順位が同じだったよね。それに代表リレーとか…


 ん?あれ?

 
 結構接点、ある?



 ぼうっと考えているうちに、交換は終わってた。


「うん、よし。ありがとう」


「あ…うん」


 新しく刻まれた、『皐月昴』という名前。

 初めての同級生の男の子の連絡先。


 なんだか不思議な気持ち。


 でも、できればあんまり関わらないようにしたい。


「じゃあ、これで…」

 
 とりあえず今のこの空気に耐えられなくて扉に向かう。



 てか、なんで流されて交換したの、私…。

 断るという選択肢がなぜ無いの!?


「あれ?本返すんじゃないの?」


 …あ。


「あ…っ、忘れてた」

 危ない…これじゃ、何しに来たんだって話だよね。