「………え」


 メガネ越しの皐月くんの笑顔にギュッと心臓が潰れそうになる。



 …へんな感じ。



「ここにいれば会えると思って。それに、聞きたいことがあったから」

「な、何…?」



 すると、皐月くんはポケットからスマホを取り出した。


「連絡先。教えて」


 

 …え…っと…。



「それは…」

「だめ?」


「だめ…では、ない…けど、でも何で」


 皐月くんって、もしかして軽い人なの…?


「日向さんだけだよ」


 思わず凝視すると思いのほか真剣な顔がそこにある。



 …それって、どういう意味?


 
 でも、これ以上深く考えたくなくて黙ったままスマホを取り出した。