「ひっ、ひゃっ、ごめんなさい!!」


 慌てて体勢を持ち直して頭を下げる。


 皐月くんがバッグを拾ってくれた。


「ごめんね、ぶつかっちゃって。怪我はない?」

「う、うん…」


 でも皐月くん、なんでここに?


「日向さんにこれ、返そうと思って」


 そう言って皐月くんは私に本を渡す。

 これは、『薔薇の木曜日』本編!


「もう読んだの…?ありがとう」


 私は続編を返さなきゃ。



「さ、皐月くんも本返しにに来たの…?」

「…いや、俺は日向さんに会いたいと思って」


「…へっ!?」


 ————どっどどういうこと!?


「本、渡したかったし」

 え、あ、うん、そうだよね!

 
 なんか、違う想像をしてしまった私が恥ずかしい…。


「だけど、日向さんに会いたかったのは本当だよ」