「さ、皐月くん…どうしてここに…」


 すっかり混乱しらいるらしい日向さんをチラリと見てから


「もうすぐ5限目始まるから」


 これは事実だけど本当はそうじゃない。
 でも、日向さんが心配だったから…なんて本人と生徒会長の前では言えない。


 薄い笑みのままの生徒会長と睨み合いをしていると、日向さんが早急に弁当を抱えて



「さ、皐月くん、もうすぐはじまっちゃうから、行こうっ…」


 俺に近寄ってきて言った。

 この不穏な空気を読み取ったのだろう。



「……うん」

 確かに5限目に遅れるわけにもいかない。


 日向さんが袖の裾を掴んできた。


 引っ張られるがままに、俺たちは屋上から出た。