「ぅわっ!?急に降りるな!」

「ご、ごめんなさい…っ」


 後ろで怒っているサラリーマンのおじさんに謝りながら歩く。ていうか引っ張られる。


「皐月くん…?」


 小杉くんには見つからなかったけど、急にどうしたの…!?

 すると、皐月くんはクルリと振り返って。

「…これでもう大丈夫だよね。じゃあまた明日ね、日向さん」

「え、あ、うん…」


 私に紳士の笑みをくれた後、ホームの方へ戻っていく。

 …え?ホーム?

「もっ、もしかして皐月くん、最寄り駅過ぎちゃってた…!?」

 今から戻りの電車に乗るの!?

 私がひとり慌てる中、紳士なイケメンくんは、

「大丈夫。割とすぐだから」

 どこまでも優しい。


「ご、ごめんねっ!私のせいで…」


 申し訳ないよ。何で気付かなかった、私!