それに、小杉くんこっちに近づいてきてない?
「…っ」
私の目の前に立っている皐月くんが、覆いかぶさるように隠してくれてる。
は、恥ずかしい…。
てか、ホントに紳士すぎる。
「………」
ただ黙って小杉くんに気付かれませんように…と待っていると。
——ガタン。
電車が駅に着いた。私の最寄り駅。
「…あの、皐月くん、私ここで降りなきゃ」
「うん」
皐月くんはどこの駅で降りるんだろう。
そう思いながら恐る恐る立つ。
小杉くんが後ろを向いた隙に…って、ん?
「え…手…」
手を、掴まれた。
「ちょっ…えっ、えっ…!?」
そのまま引かれて、電車を降りる。