「分かった」


 と、皐月くんが頷いた。


「…へ?……きゃ!?」



 な、なに何!?


 急に肩に手を置かれ、引き寄せられる。


 途端、皐月くんの石鹸のような爽やかな香りが鼻腔をついた。


 ちちちち近い!!


 慌てふためく私とは裏腹に、皐月くんはちょうどやってきた電車に平然と入っていく。

「ちょっ…皐月、くん…!?」

 私は、肩に手を乗せられたまま。


「あら、若いわねぇ。うふふ」

 って、買い物帰りらしきおばさん2人がこっち見て笑ってるけど、そんなカンケーじゃないからね!


 皐月くんはそのまま私を1番端の椅子に座らせた。


 ————もしかして、私を小杉くんから見つからないようにしてくれてる?


 ウソ。何でそこまでしてくれるの…?

「アイツ、乗ってきたな」