男の人がそう言うと、ゴメン…と梨々ちゃんが呟いた。


「ほら、もう帰るぞ。体調悪化したら俺も心配だし」


 そう言って、男の人は今度は私を見て


「ゴメンね。お騒がせして。梨々の友達?」

「はい。…あの、梨々ちゃんのこと、よろしくお願いします」

「うん、もちろん」


 そう言って微笑んでくれた男の人の口元は、僅かに梨々ちゃんと似ていた。



 結局梨々ちゃんは男の人によって抱えられ、私は急いで荷物をまとめてバッグを男の人に手渡した。


「ありがとう」

「梨々ちゃん、お大事に」

「七海…ちゃん、ゴメンね……」