「『薔薇の木曜日』です」


 答えると、広野先生は、なんだそりゃ、って顔。

 一方、年配先生は、


「ほぉ。あれを読むのかい」

「知ってるんですか?」


「もちろん。あれは私の妻が持っていたものでね。本編の方は家にあるんだが」

「あっ、私も本編なら家に…って、今持ってます。コレですよね」


 バッグから、今日放課後、皐月くんに渡す予定のその本を取り出す。

「ああ、それだ」

 年配先生が頷く。

「なんだか古い本なんだな。見せてくれ」


 広野先生に渡す。

 先生は、それをパラパラとめくって一言、


「なんだコレっ!?全部英文じゃないか」

 でも面白いんですって。

「図書室で読んでもいいんですけど、兄にも読ませたくて」

「お兄さんがいるのか。
  …ん?あれ、日向って、もしかして」