「そんなわけないだろ。あそこはいろんな奴らが本やマンガに群がってっぞ」
…えぇ?
「いや、でも、誰も…いや、誰もじゃないけど、司書の人いなかったんですけど…」
「もしかして」
と、先生は人差し指を立てる。
「お前、東棟の方の図書室、行ったか?」
「はい」
…東棟の方の?
「はっ、マジか、日向。あそこは難しい本ばっかで誰もいないんだ。西棟の方の3階の図書室は、マンガやら恋愛小説やらあって人はいるんだが」
えっ、図書室、2つあるの!?
「ほー…、東棟の図書室に行ったんですか。何を借りたいんですか?」
広野先生の隣の席に座っていた年配の先生が興味深そうに尋ねてくる。