立ち上がり、振り返った...のだが。


目が合った瞬間ドクンと胸が鳴った。


か、か、か、かかっ、カッコいい...。


海よりも鮮やかな青色の髪、青空のように透き通った青い瞳...。


この世のものとは思えないほど美しい。


そう...アクアマリン。


家にあったお母さんの誕生石のような男性。


私は頭も体も動かなくなった。



「俺の色を身に付けてくれるなんて嬉しいよ、紗彩」



さ、さ、紗彩...。


さっき会ったばかりなのに呼び捨て...。


だけど、なんか悪くない。


むしろ、良い。


なんだ、このほのかに甘い感じ。


暑すぎて熱出ちゃったとか?


いやいや、そんなわけ...。



「可愛すぎてしんどい。俺の心をそんな簡単に奪わないでよ」


「いやっ、えっと...その...」


「このまま食べちゃいたいくらい。だけど、なんか嫌な予感するから真面目に学校に行ってくるね」


「あっ、はい...。い、行ってらっしゃいませ」


「ふふっ、ほんと可愛い。じゃあ、行ってきます」



そう言って頭にポンと手を乗せ、彼は行ってしまった。


青波凪砂先輩、だよね?


一体何者?