「え?」

修二の言ってることに思考が追いつかない。

「今付き合ってる彼じゃなきゃ幸せになれないって彼女が言ったの?」

「そんなこと言ってないけど」

修二の顔が近い・・・

「でも、あの人は俺の上司でもあって」

「上司だから?逆らえないって?」

「違う。そうじゃなくて。それだけじゃなくて、人格者だし、何より俺が和奏さんから仕事を教わったように、和奏さんはあの人に仕事を教わったんだ、尊敬から憧れて、好きになったんだよ、きっと。俺気持ちわかる」

「ふーん」

「俺だってあの人の手腕は認めてる」

「だから?」

修二がこの世のものとは思えないような恐いカオで言った。

え、だからって。

「ほんとに変わってねえな、颯多は」

俺から離れて、カウンターに向く。

「優しすぎて、見てられない」

「別に優しいとかそんなんじゃ」

「じゃあ、お人好しだな。彼女と相手の関係に縛られて、身を引くなんて」

「・・・」

俺が何も言わないと、トドメが刺された。

「俺とハルならあり得ない」

「な、ハル?」

って修二が笑顔でハルを見るけど、ハルは、

「混ぜるな」

とクール?に返した。

「ったく。素直じゃないな。じゃあ颯多みたいに相手の相手のフォローまでして身を引くのかよ」

なっ、また勝手なことを。
俺はフォローしたわけじゃ!

「引かないけど」

「ほら見ろ」

修二が勝ち誇ったカオで、俺を振り返る。