「で、話戻るけど。それのどこにおまえがフラれた要素があるの?」


「え?聞いてなかったの?和奏さんは、幸せだって言ったんだよ。すごい笑顔で!」

「それはそれだろ。そのときの彼女の素直な気持ち」

そりゃ、修二の言うことが間違ってないのはわかるけど。

「今幸せなんだから、俺なんて眼中にないんだよ!」

俺が反論すると、修二は今まで俺の話を黙って聞いていたハルに視線を移した。

「ハルも思うでしょ。今の話のどこにも颯多がフラれた事実なんて見当たらないって」

ハルが口を開く。

「揺るぎない事実はないけど、想像の余地はあるかもね」

なに?なんからしい言い回しだけど、それはやはりハルも俺の感覚がおかしいって言ってるのか?

「なるほどね」

修二は、何やら納得して頷いている。
そして、勝ち誇ったように俺に視線を戻した。

「つまりさ、またしてもフラれた経験のないおまえは、フラれたと勘違いしてるわけよ」

はぁ?何それ?勘違い?