あの父親が?



心配?



なにそれ笑



「笑わせないでよ、」


考えるより先に口に出ていた。


「はあ?なに言って「あの父親が心配?そんなことするわけないじゃない」



あの人には家族なんていないのに。



「あの人には家族っていう言葉が辞書に無いの。ましてやそれを心配?いい加減にして。そんなの外面だけよ。あの人が心配するのは政治と自分の地位だけ。母親に売り渡したのはあの人なのに、今になって被害者面かよ、笑える」


「…恭夏…」


「なに?同情?」


「変わっちまったな」



「…あんなことされて変わらないわけないでしょ。」


"あんなこと"についてはもう二度と誰にも言うつもりはないけど。


「あんなことってなんな「教えないよ」


たとえ悠でも教えない。


「その変わりと言ってはなんだけど、幼なじみ&初恋の相手として私の決意を教えてあげよっか?」


「…なんだ、お前の決意って」


「…家族愛も友情も信じない。ましてや恋愛なんて二度としない。」


「ほんとにいいのかよ」


「信じて傷つくよりよっぽどマシよ。愛想笑いで生きていくって決めたの。だからこれからいくら話かけても元の私には戻らないから。」


「……」


ふぅと深呼吸をする。


次に愛想笑いを浮かべる。


「またね!悠!」


そう言って私は屋上を去った。