強そうに見えて案外そういう弱点があるところが彼らしいなと思わず顔が緩んでしまう。まだ離れてから数日だけれど王子たちと元気にしているだろうか。

「お前のがまだマシかもな。あいつは船の上だとまず起き上がれない。しかも大袈裟に唸るからとにかく煩い」
「そうなんだ……」

 船酔いの辛さは今も身に染みてわかっているので可哀想としか思えない。

「ん?」

 と、セリーンが眉を寄せた。

「あの男、まさか船に乗るのが嫌で残ったのではあるまいな?」
「えー、流石にそれはないと思うけど……」

 私が苦笑しながら言うとセリーンは「まぁ、奴のことなどどうでもいいがな」とさっさと話を切り上げその場を離れた。 

「カノン、何か口に出来そうなら食堂に行ってみるか?」
「あ、……うん、ちょっと食べてみようかな」

 船に乗ってからろくに固形物を口にしていない私はもう一度お腹を摩ってから答えた。今なら少し食べられそうだ。

「ラグも行こう」
「あぁ」

 そうして私たち3人は階段を下りて食堂へと向かった。