「舞とは、難しいものですね」

かぐやの舞を見ながらエヴァが言った。衣装を着たエヴァはミステリアスな雰囲気を纏っている。

「まあね。舞は普段使わない筋肉を使ってワルツとかに比べてとてもゆっくりだから……」

かぐやはそう言いながら舞を終える。一回舞っただけだが疲れてしまった。その場にかぐやがしゃがみ込むと、エヴァが立ち上がる。

「かぐやさんの舞を見て少し覚えました。舞ってもよろしいですか?」

「いいよ。でも本当に舞えるの?」

一度見ただけで覚えられるものではないとかぐやは思いつつも、エヴァなら完璧に舞うことができるかもしれないと期待も抱いている。エヴァはお辞儀をし、ゆっくりと動き始めた。

ところどころ舞の形が乱れてしまっているが、エヴァはかぐやの舞を暗記しているようだ。そのエヴァの舞に、かぐやは目が離せない。

なぜか、瞳から涙がこぼれた。流れ出した涙は止まることがない。かぐやは涙を拭いながら、エヴァを見つめ続けた。