「ごめん……」

そう言い、かぐやは涙を拭う。その刹那、ふわりと優しく体が温もりに包まれた。エヴァに抱きしめられていると気付くのに時間が少しかかる。

「えっ!?はっ!?」

エヴァの行動に驚くかぐやだったが、その体温は心地よかった。感情があまりないのにこんなにも温かいんだと考えてしまう。そして、こんな時にもエヴァのことを悪く思う自分に腹が立った。

「申し訳ありません。アイヴィーさんがケイリーさんをこうして慰めていたのでこうすべきなのかと……」

エヴァらしい答えが返ってきたため、かぐやは笑ってしまった。そしてエヴァに言う。

「ねえ、私と一緒に舞ってくれない?過去と決別するために」

「はい、もちろんです」

月明かりに照らされたエヴァの顔は、やはり美しい。シリウスがいたら胸を高鳴らせているんだろう、とかぐやは切なげに微笑んだ。



次の日から、かぐやはエヴァと舞殿にこもってひたすら舞の練習を始めた。かぐやは舞を踊るのは久しぶりだったが、体は覚えてくれていたようだ。

かぐやはさくやと習い事をするたびに比べられていたが、舞だけはかぐやの方が上手だ。神経を集中させ、舞を踊る。