日中、お互いの想いは確認した。だから、そういうことになっても不思議はないにしても、今日の今日はさすがにどうなんだろう。

でも、もう伊月とは一度そういう関係になっているし……とひとりもやもやと考えながら部屋まで上がると、携帯が鳴った。
確認すると大地からのメッセージで、そういえば日中連絡していたことを思い出す。

【え、じゃあうちにも顔出せるよな?】
【何時くらい?】

ポンポンと受信したメッセージを見ていると、伊月が「大地か?」と聞くからうなずいた。

「そう。今日もしかしたら一回帰るかもって連絡してたの。たぶん、今部活終わったのかな」

二十時前という時間的にそういうことなんだろう。どう返信しようか迷い、画面の上で指をさまよわせている私の隣で、伊月が聞く。

「帰るのか?」

見上げると、すぐに目が合う。
私の気持ちを探るような眼差しに、心臓が大きくドクンと鳴った。

妙な緊張感があった。お互いにお互いの気持ちを探っているようなおかしな空気を感じながら目を伏せる。

伊月は、ずるい。

「こんな、監禁みたいなことしておいて最後は私に聞くんだ」

そう呟くように言い眉を寄せ見上げると、伊月はやや不貞腐れたような顔で答える。

「俺だって、自分でもどうかと思うって言っただろ。下手したらひかれるくらいがっついてることくらい、わかってんだよ。……だから、おまえが帰るって言うなら送る」

そんな不満そうな顔でこんなことを言われても困る。
欲しいのに欲しくないって言っているように思え、ふっと笑みがこぼれた。