変わり者だと遠ざけられていた自分と、変わり者だと愛されていた妻。



私たち、似たもの同士だね。


初対面、第一声がそれだった。


食堂から離れていた場所でひとりカップラーメンをすすっていたとき、いつの間にか目の前に立っていた彼女との初めての会話。


ヘルプで来たという美里は、院内でも噂になっていたから嫌でも耳に入ってきていた。


実際、病院の跡取りとして奮闘していた当時の俺よりも、部外者である美里のほうが五十渡病院の関係者と親密だったように思う。


まるで陽と陰。

光と影。

人気者とはぐれ者。



そんな俺たちが似たもの同士だと、碧眼の外科医はたしかに言った。




ねえ、よかったら友だちにならない?



伸びきったカップラーメンを手に、何が何だかよくわからないまま子供のようにコクリと頷いてしまったのが、今から5年前の話である。



人生は何が起こるかわからないな、とベッドの縁に腰かける線の細い後ろ姿を見つめる。