そのうち飽きてきたのかゆったりと景色を堪能しはじめたこっちゃん。
お決まりの流れというか、当たり前のように話は恋バナになった。
私は聞き役に徹して、花平くんのかっこよさを延々と聞いていた。
「花平くんってね、不良のように見えるけどじつは優しいんだよ!」
「しかも喧嘩も強いし、1人で何人も倒しちゃうの」
「さっきあたしも金髪にしてみようかなーって言ってみたら、いいんじゃないのって言ってくれたんだ!これって脈ありかな?」
また、胸の奥がツキンと痛んだ。
微かだけど、たしかな痛み。
『私も金髪にしたら似合うかなぁ……』
『似合わねーんじゃね。やめとけよ』
いつかの会話を思い出す。
そっか、こっちゃんは良いんだ。
たしかにこっちゃんは美人顔だから。
目もぱっちりしていて横顔も綺麗だから、ブロンドとか似合いそう。
くらべて私は、なんの特徴もなくて地味でぼーっとしてて。
自分の顔なんてまじまじ見たことなかったけど、意識しだしたらなんだか急に恥ずかしくなってきた。