「うう〜……」

玲奈の口から嗚咽が漏れ、透は恐る恐る玲奈を抱きしめる。初めて見た玲奈の涙はとても綺麗だった。それと同時に、透の胸が締め付けられる。

初めて触れた玲奈の体は、透が想像した以上に華奢で透は顔を赤くした。玲奈が泣いていてくれてよかったとホッとする。

玲奈が泣き疲れて眠ってしまうまで、透は胸を高鳴らせながら玲奈を抱きしめていた。



それから数日後、透の日常はほとんど変わりはなかった。

「助手、コーヒーを用意して」

「わ、わかった」

玲奈は目が覚めると、いつもの変わり者の寄生虫学者に戻っていた。女性らしくて可愛いと思ったのは幻だったのかと透は少しがっかりしてしまったほどだ。

「透くん、コーヒーは私がしておくから資料運びの方をお願いしてもいい?」

キッチンに透が向かうと、美咲がテーブルの上に積まれた資料を指差す。この量は女性一人では大変だろう。

「わかりました」

美咲に笑いかけ、透は資料を手にする。すると美咲が言った。