テスト返却の日は午前中で学校が終わる事になっていた。


このまま家に帰っても暇だし、海はまだバイト中だ。


暇を持てあましたあたしはいつものファミレスに香澄を呼んだ。


「今日も持ってきたから」


香澄はそう言うと、封筒を取り出してテーブルに置いた。


あたしはオレンジジュースをひと口飲んで中身を確認する。


いつも通り30万円が入っているのを見て、封筒を鞄にねじ込んだ。


「じゃあ、あたしはこれで」


そう言ってそそくさと席を立とうとする香澄をあたしは止めた。


「今日は買い物に付き合ってよ」


「え……?」


「どうせ引きこもってて暇なんでしょ?」


香澄は怯えたように視線を彷徨わせている。


今までは現金を渡すだけですぐに帰る事ができていたのに、今日は様子が違うからだろう。


「あたし暇なんだよね。付き合ってよ」


「う、うん……」