すべてが順風満帆だった。


学校生活も、海との関係もこれ以上ないほどに彩られている。


「おいデブ! 邪魔だぞ!」


クラス内では田村が男子生徒たちからイジられ、笑われていた。


クラストップであるあたしが田村をないがしろにしているから、他のみんなも同調しているのだ。


あたしはその様子を見つめて笑う。


田村は大きな体を押しのけられて、クラス内で小さくなってしまっている。


「星羅ちゃん、ジュース買ってきたよ」


「星羅ちゃん、家族で出かけてお土産買って来たの」


「星羅ちゃん」「星羅ちゃん」「星羅ちゃん」


椅子に座っているだけで話しかけて来る女子生徒だち。


みんなに手にはあたしへのお土産を持ていて、面白い話を聞かせてくれる。


あたしはただ座ってお土産を受けとり、そして話を聞くだけ。


それだけでみんなあたしへ媚を売ることができたと思って満足するのだ。


あたしに気に入られるために必死に動き回る生徒たちを見るのは快感だった。