トークアプリから1人の名前をタップし、電話をかける。
先程解散したばかりだからそう遠くには言ってないと思うけど、気付いてくれるかな。
しばらく呼び出し音がなり、3コール目にして通話が繋がった。
「あっ、もしもし!?晴くんですか」
「ふはっ。俺に電話かけたなら俺しか出ないよ」
「そ、そっか。あのさ、聞きたいことあるんだけど!」
「んー」
「晴くん?聞こえてる?」
「ちょっと待って」
どこか気の抜けた返事に不安になる。
夜の街は、モニターから流れる音楽がやけに響いて1人でいると心細く感じる。
「あの、晴くん?」
「みっけた」
「え?」
「ほら、葵から見て後ろ」
その言葉にバッと振り返れば、黒い髪の彼が立っていた。