「未来のことなんか考えたってわからないじゃない?私たちが生きてるのは今この時間なんだし」
「うん」
「ならさ、葵が何に悩んでるかは知らないけど、未来に後悔しない為に葵らしくなりなよ」
私らしく、か。
「うん、ありがとう」
「じゃあ行くわ」
そう先に行くなっちゃんは少し大人に見えた。
「……ごめん!なっちゃん、先帰っててもらっていい?」
「あら、初めからそうするつもりだったけど?」
後ろを振り返り、ニンマリ笑うなっちゃんは私よりいつも上手だ。
冷静で物事がよく見えてるなっちゃんは、私がこれからすることもわかってるみたいだった。
「葵、頑張ってね」
そしてニッコリと笑いそのまま人混みの中に紛れていった。