なにか思いつめてるみたいな、そんな空気。 抱きしめ返すと、先輩の肩が少しだけ震えていた。 「…ちょっとね、今思っちゃったんだ。芙羽梨が僕じゃない誰かのもとに行ってしまったら、この幸せな時間も他のやつに取られてしまうんだ…って。そう思ったら、怖くなった」 ……どうしていきなり、そんなことを言うんだろう。 「…私、詩音先輩以外の誰かのところへなんて行きませんよ?」 「え……?」