「よし、三分前」

彼と彼女は小さな溜息で呼吸を整える。

相変わらずのふわふわしたマッシュヘアで、長い前髪は少し目にかかっている。

誰もが目を奪われる容姿の持ち主は、この学校で最も人気のある白藤 翔《しらふじ しょう》先生だ。

これで結婚できない三十代である事実に冬香は疑問を抱かずにはいられない。


「あ、チャイムがなった。じゃあ日直さん号令」