次の授業は六時間目、古典の授業。

彼がやってくる。冬香はそれだけで落ち着かなかった。

授業終わり、教科担当が出ていった後の教室は静かだった。

聞こえるのは教科書のページをめくる音と隣の教室からの騒音だけで、無駄なものはなかった。

雑音に紛れる美しい音がこれほどまでに凛として聞こえるのはこの空間だけであった。


そして、廊下からやってくる足音がはっきり分かるのもこの空間だけだと冬香は思っていた。


少しずつ大きくなる足音と共に拍動が大きくなり、扉がガラガラと音を立てて開くと同時に最高潮に達する。