瑠美は机から飛び降り、翔に歩み寄る。

彼の表情を伺い、落胆とも確信とも悲しみともとれるそんな顔をした。

「やっぱりまだ忘れてないんだ」

瑠美はため息とともに彼を抱きしめ、ねっとりとした声で囁いた。
しかし、翔の体温を感じたのもつかの間、彼はすぐに彼女を引き離した。

「冬姫は関係ない」 

「嘘」

「どうして?」

瑠美は拳を強く握った。だんだん濃くなったオレンジの光が彼の表情を隠していたからだった。