「なんで無理なの?」

「俺は教師、君は生徒だから」

「つまんないの。昔はあんなに愛し合ってたのに」

一瞬、翔の手が止まった。
外から聞こえる運動部の掛け声がやけに大きく響いている。

その声が別の誰かに見られているような感覚を与えた。

「誤解を生む言い方はやめなさい。それは千年以上も前の話。もうあの頃とは違うんだ」

「何も違わないよ。あの女にはまだ未練たらたらのくせに」

「あの女?」

「ふざけないで。冬姫に決まってるじゃない」