「素直だなんて久々に言われたよ。君に言われるとは思わなかったけど」
「はぁ……」
冬香には相変わらず彼のツボが全然分からなかった。一体何が面白いのか、その点はやはり変わり者と言うべきだと思っていた。
「まぁ、確かに素直かもね。うん、きっとそうだ」
自己解決。冬香には彼の領域に踏み込む権利も、余裕もない。しかし、彼女はそこに行きたいと願った。少しでも近くに寄って彼の目が写している世界を見てみたいと願った。そこに辿り着いた時、一体何に出会うのか、自分の目にどう映るのか、そればかりが冬香の頭の中を支配する。無邪気さを秘めたその瞳を何も言わずにじっと見つめ、彼の美しさに心を奪われていった。