──現代、高二D組
 国語になんて興味はなかった。
学校という小さな社会に属してから今まで、勉強をする意味を最も感じられなかったのが国語だった。

数学のように公式もないし、絶対性もない。英語のように未知の世界に通ずる術にもならない。漢字と日本語が出来れば誰にでもできる教科だと冬香はそう認識していた。

だから国語教師なんて皆同じ。代表的なテクストを使って、模範的な教訓を生徒に叩き込む。つまらないものだと、ずっとそう感じていた。