例えば、
満開の桜並木を写すとき。


 

例えば、
夜空に咲く大きな花火を写すとき。





例えば、
色鮮やかな紅葉を写すとき。





例えば、
透き通った小さな小さな氷柱を写すとき。







そこに在るのは、終わりの予感。



けれど、その儚く脆い美しさに、勝手に指がシャッターを押してしまう。




「…っ、マサさん、」


「うん」



この気持ちは、それと酷似している。




どうしようもないんだ。



「……っ、好きです」

 

「うん、俺も」




静かに、唇は触れ合った。





マサさん。




マサさん。


 


私の好きな人は、いなくなってしまう。




このオレンジ色の海の向こうに行ってしまう。



ずっとここで勉強していたのは、外国の大学に進学するから。





どうしようもない。




もう、会えないんだ。