1粒の雫がポタリと先輩の手を包み込む私の手に落ちる
あぁ、どんな言葉を掛ければいいんだろうか。
先輩の傷の深さは計り知れない
一緒に泣いてしまいたいけど、
それじゃ先輩の心は救えない。
「先輩もお母さんと同じくらい寂しかったですよね
自分がいるのに、自分を見てくれなくて」
先輩のお母さんだって悪気は無いけど
守ろうとする先輩の意志とは反対に
元に戻れないほどにまで壊れていき
最悪の結果を招いてしまった。
「でもきっと伝わってますよ、先輩のお母さんへの気持ち
愛した人との子供だもん
今はまだ難しいかもしれないけど
いつかきっと昔みたいになれますよ」
確証はないけれど
先輩なら大丈夫だと。
「後悔を残すくらいなら
逃げずにぶつかって行きましょう」