ーーー…


「……なんとか命は助かったけど

まともな精神状態ではないから

今は静かな田舎でばあちゃんたちと暮らしながら療養してる…」



話し終えた先輩の手は微かに震えている


表情も今にも泣いてしまいそうで


私まで泣いてしまいそうになったけど、ぐっと堪えて私はそっと先輩の手を両手で包み込んだ



ふと、先輩のある言葉を思い出す

私に好きなタイプを聞かれて

〝俺のことが嫌いな子かな〟

そう答えた先輩



愛していた人を亡くして壊れた先輩のお母さん


愛は時に人を弱くする


それならそもそも愛さない、愛されない方がいいって思うだろう。



「俺が母さんを酷い目に遭わせたんだ」