「専務ーっ。
 花鈴が『いっちゃん』なのは、単に一番前の席で授業受けてたからってだけらしいですよー」
と後ろから笑って詩織が叫ぶ。

「あーっ、もう、なにバラしてるんですかっ。
 私のミステリアスな部分がなくなるじゃないですかーっ」

「お前にミステリアスな部分なんてあったか……?」
と光一が呟いていた。

 光一が花鈴の手を取り、そっと口付けてくる。

 花鈴は目を閉じた。

 生涯ただ一枚の写真の続きの人生を、みんながスマホに収めてくれる音を聞きながら――。



                            完