「このミッションが終わったら別れたことにしようって、専務、おっしゃってたじゃないですか」

 ラブラブに見せかけるミッションが終わったら――。

「途中から、何処まで来たら終わりなんだろうって、ずっと不安に思ってた気がします」

 光一がちょっと笑い、キスしてくる。

 いやいやいやっ。
 此処っ、人気(ひとけ)がないとは言え、社内ですっ。

 そう焦ったが、ふと気づいて、花鈴は少し笑った。

「どうした?」
と光一が訊いてくる。

「いえ、あんなに頑張ってもラブラブな感じが出せなかったのにと思いまして」

 そのとき、監査役が渡り廊下を歩いてくるのが見えた。

 目が合い、二人で頭を下げると、こちらにやってきた。