車の中で二人は、それぞれ、タブレットとスマホを覗き込む。
「どうする?
この間、添付して送ったラブラブデートコースを巡ってみるか?」
「そうですね~。
でも、そういえば、この間、安芸さんと巡ったのも違うラブラブデートコースだったんですよね。
……でも、なんにもラブラブになりませんでしたけどね」
ネットや雑誌の情報には偽りがある。
そう思う花鈴は、誰と巡るか、が重要なことに気づいてはいなかった。
「お前、健康ランドに行きたいんじゃなかったのか?」
「あ、そっ、そうでしたねっ。
いいですか?
健康ランドでも?」
狭い車の中で二人きり、という緊張感に耐えきれず、花鈴は叫ぶ。
「いやいや。
そうしてんのがもう、普通にラブラブデートじゃん」
と詩織が見ていたら言っていたことだろうが。
誰も教えてくれなかったので、二人は、未だどうしていいかわからず困っていた。